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米国訪問についての内外記者会見

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米国訪問についての内外記者会見

【岸田総理冒頭発言】

 冒頭、台風第14号によりお亡くなりになった方々に対し、哀悼の意を表しますとともに、御遺族の方々に心よりお悔やみを申し上げます。また、被災された全ての方々に、お見舞いを申し上げます。政府としては、引き続き、自治体や事業者と連携して、復旧に向けた対応に万全を期してまいります。
 国連総会ハイレベル・ウィーク出席は、2016年に外務大臣として出席して以来、6年ぶりとなります。国連及びニューヨークの皆様の温かい歓迎に感謝いたします。
 今回のハイレベル・ウィークは、ロシアによるウクライナ侵略後初めてのものになります。この数十年に一度と言われる難局、歴史的分水嶺(ぶんすいれい)にあって、引き続き私が先頭に立って首脳外交を進め、「新時代リアリズム外交」を推進していく決意でニューヨークを訪れました。
 今般、私は、一般討論演説の他、様々なマルチ会合に出席し、また、各国首脳との会談を行いました。
 まず、一般討論演説においては、ロシアによるウクライナ侵略等の力による一方的な現状変更が国際秩序の根本を揺るがしている中、国連の理念と原則に立ち返り、国際社会における法の支配に基づく国際秩序を徹底するために国連の改革及び国連自身の機能強化が不可欠であるとの観点から、3つの柱からなる国連の理念実現のための日本の決意を表明いたしました。
 第一に、安保理を含む国連の改革と国連の機能強化。第二に、国際社会における法の支配を推進する国連の実現に向けた取組。第三に、新たな時代における人間の安全保障の理念に基づく取組。この3つの柱を実現するため、今後とも、各国の声に真摯に耳を傾け、国連及び多国間主義への日本としての強いコミットメントを示していきたいと思います。
 また、初めてとなる首脳級でのCTBT(包括的核実験禁止条約)フレンズ会合を開催いたしました。CTBTの発効促進、普遍化、検証体制の強化等に加え、残りの発効要件国の署名・批准を求める共同声明が採択されたことにより、国際社会への強いメッセージを発信することができました。CTBTの署名開放から25周年という節目を捉え、「核兵器のない世界」の実現に向けた現実的かつ実践的な取組として我が国が重視するCTBTの早期発効に向けた国際社会の機運を高めていく一つの重要なステップにできたと思います。
 さらに、バイデン米国大統領が主催したグローバルファンド第7次増資会合に出席いたしました。九州・沖縄サミットでの議論を契機に設立されたグローバルファンドに対して、エイズ、結核、マラリアといった感染症の収束や保健システム強化のため、今後3年間で最大10.8億ドルの拠出を行うことを発表いたしました。新型コロナの拡大によって浮き彫りとなった感染症対策の重要性を踏まえ、我が国は、国際保健分野においてリーダーシップを発揮してまいります。
 そして、国連女性機関が主催したHe For Sheサミットにおいて、女性活躍促進に積極的な首脳としてHe For Sheチャンピオンに就任いたしました。この機会を捉え、私からも、本年12月に東京で開催する国際女性会議、WAW!を念頭に置きつつ、ジェンダー平等の実現に向けた日本の決意が不変であることを宣言いたしました。
 二国間の文脈においては、今回、ハイレベル・ウィークに出席した各国首脳のうち、インド太平洋への「傾斜」を掲げる英国のトラス新首相との間で、二国間関係のみならず国際社会の諸課題について突っ込んだ議論を行いました。今後も、G7の場を含め、首脳レベルで、ウクライナ情勢や東アジア情勢を始めとする様々な国際的な課題において、両国間の緊密な連携を一層強化していくことを確認いたしました。
 それ以外にも、フィリピンのマルコス新大統領を始め、エルドアン・トルコ大統領及びライースィ・イラン大統領との間でそれぞれ会談を、また、米国バイデン大統領やアーダーン・ニュージーランド首相との間でそれぞれ短時間の懇談を行いました。韓国の尹(ユン)大統領との間でも懇談を行い、懸案を解決して日韓関係を健全な関係に戻す必要性を共有し、1965年の国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を未来志向で発展させていくという考えで一致し、現在行われている外交当局間の協議を加速化するよう指示することといたしました。
 各国首脳と、現下の難局を踏まえつつ、ロシアによるウクライナ侵略への対応、自由で開かれたインド太平洋や二国間関係などについて意見交換をすることができました。また、この後、シュミハリ・ウクライナ首相などとも会談を予定しております。
 世界的に進行している物価高騰や、エネルギー安定供給の危機、さらには、世界的な景気減速への懸念についても、議論となりました。影響は各国様々ではありますが、各国の国民生活や経済活動を守り抜かなければならないという強い問題意識は共有することができました。
 この後、世界の資本主義の中心であるニューヨーク証券取引所を訪問し、私の「新しい資本主義」を紹介しながら、日本経済への積極的な投資を訴えてきたいと思います。
 日本経済を再生し、成長させていくためには、人的資本、イノベーション、GX(グリーン・トランスフォーメーション)、スタートアップといった今後の成長の種に、官民の投資を集めていくことが必要です。世界を代表する投資家の皆さんに、日本の変化、未来について直接お話をし、グローバルマネーを日本に惹(ひ)きつけるための良い機会としていきたいと思います。
 秋には、臨時国会も想定されています。国会では、世界的な物価高、エネルギー安定供給、世界の景気後退懸念、さらには、急激に進展している円安。こうした足下で進行中の様々な危機から、どのように国民生活や経済活動を守っていくかが最大の論点です。
 あわせて、私がニューヨーク証券取引所でお約束する、我が国経済の再生、成長を成し遂げるための具体的な政策を形にすることも待ったなしです。
 こうした観点から、既に10月中の策定を指示した総合経済対策について、30日には、そのための具体的な指示を全閣僚に対して行います。10月に策定後、速やかに実行していきます。
 また、10月11日から、水際対策については、入国者数についての上限撤廃、個人旅行の解禁、ビザなし渡航の解禁を行います。あわせて、同日より、「全国旅行割」と「イベント割」を開始いたします。多くの方に御活用いただくことで、コロナ禍で苦しんできた宿泊業、旅行業、エンタメ業などを支援していきたいと思います。
 激変する国際社会において、来年G7議長国を務め、また、年明け1月より安保理非常任理事国となる我が国の外交力が試されています。来年5月に広島で開催するG7サミット等の機会を活用し、地域情勢、国際経済及び地球規模課題を始めとする国際社会の諸課題について、引き続き、私自身が先頭に立って、議論を主導していきたいと思っています。

【質疑応答】

(毎日新聞・飼手記者)
 総理、連日の外交お疲れさまです。私からはアジア外交について伺います。今回の外遊では、日韓首脳の懇談が行われました。尹大統領と初めて30分間着席の形式で対話をされました。懇談での雰囲気や元徴用工問題の解決に向けた手応えをどのようにお感じになられたか伺います。また今回は、両政府ともに正式な会談ではないとしましたが、元徴用工問題などでどのような環境が整えば正式な首脳会談が開催できるとお考えでしょうか。
 一方で、日中関係については、国交正常化50周年を29日に迎えますが、今回の外遊では首脳会談も外相会談も行われませんでした。これから秋の外交シーズンが本格化しますが、今後、首脳会談の開催も含めて中国との外交をどのように進めていくお考えでしょうか。よろしくお願いします。

(岸田総理)
 まずおっしゃるように、韓国の尹大統領とは、21日、アメリカ・ニューヨーク時間ではありますが、懇談を実施いたしました。
 双方の懸案を解決し、日韓関係を健全な関係に戻す必要性を共有し、1965年の日韓国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を未来志向で発展させていくという考えにおいて一致いたしました。また、それに先立つ19日の日韓外相会談では、労働者問題に関して外交当局間で行われている建設的なやりとりを評価したところであり、これを踏まえ、今回首脳間では、早期解決に向けて協議の加速を指示することで一致したところです。
 これらを含め基本的に実務的な雰囲気の懇談を行ったと感じています。
 そして、現時点では今後の首脳会談については何ら決まっておらず、予断をもって申し上げることは控えますが、日韓関係を健全な形に戻すべく、我が国の一貫した立場に基づき、韓国側と意思疎通を続けていく考えであります。
 そしてもう一点、日中関係についても御質問を頂きました。日中関係については、中国に対して主張すべきことは主張し、責任ある行動を求めつつ、共通の諸課題については協力するという「建設的かつ安定的な日中関係」を双方の努力で構築していくということが重要であると、これは従来から申し上げてきたところですが、こうした考え方に基づいて、日中首脳会談については、現時点で決まっていることはありませんが、今申し上げた考え方に基づいて、しっかり意思疎通を行うことは重要であると考えており、我が国は中国との対話について常にオープンであるという姿勢を維持していきたいと存じます。こうした基本的な姿勢に立ちながら、具体的な対話の在り方について、日中でしっかり考えていき、調整していきたいと思っています。

(ブルームバーグ通信・イアン・マーロウ記者)
 岸田総理、私の質問を受けてくださり、ありがとうございます。まず、与党自民党は日本の防衛費の倍増を求めていますが、総理はこうした動きがアジアにおいて緊張を高めることになるとお考えでしょうか。また、日本の意図について、総理はどのようにアジアの周辺国を安心させるおつもりでしょうか。
 また関連してお聞きしたいのですが、最近バイデン大統領は、中国が台湾に侵攻した場合、米軍を動員する用意がある旨発言しましたが、日本も米国と共に自衛隊を動員する用意はありますでしょうか。

(岸田総理)
 はい。まずですね、日本の防衛費倍増がアジアに心配を与えるのではないかという御指摘については、戦後日本の平和国家としての歩み、この77年間の、この平和国家としての歩みを知っている方は、そのような疑問を持たれないだろうと私は思っています。平和国家として、地域の国々と共に繁栄していこうという日本の強い思い、アジアを始め世界に既に示されています。こうした77年間の歩みをしっかり見ていただいたならば、そうした懸念や不安にはつながらないと信じております。
 その上で述べたいと思いますが、ロシアによるウクライナ侵略を目の当たりにし、私自身、「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」、こういう強い危機感を抱いています。
 対立を求めず、対話による安定した国際秩序の構築を追求する、これが基本であると思っています。しかしそれと同時に、ルールを守らず、他国の平和と安全を武力や威嚇によって踏みにじる者が現れる事態に備えること、これは抑止につながると思っています。
 日本を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、本年末までに新たな国家安全保障戦略等を策定いたします。日本の防衛力を5年以内に抜本的に強化をし、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意です。
 そしてその取組について、この先ほど申し上げました、戦後日本の平和国家としての在り方をしっかり守り、憲法、また国際法の範囲内で、しっかり取組を進めていくということ、さらにはその取組を、透明性を持って、周辺国にもしっかりと丁寧に説明していく、こうした姿勢は大事であると思っています。
 そしてもう一つの質問が、有事の際に日本がどう対応するのか、こういった御質問がありました。これは有事、具体的な対応は実際起こった事態を見てみなければ、今から予断をもって申し上げることはできませんが、いずれにせよ、我が国は我が国の国民の命や暮らしを守るために、憲法、そして平和安全法制を始めとする国内法、法律の枠組みの中で、それを遵守する形で、しっかり具体的な対応を行っていく、これはどんな事態であっても変わらないと私は思っています。以上です。

(日本テレビ・山﨑記者)
 総理は帰国されますと、安倍元総理の国葬(儀)が来週27日に予定されています。しかし、各社の世論調査では反対が賛成を上回っている状況です。こうした国民の理解が広がらなかった理由についてと、このような状況を招いた自らの責任についてどのようにお考えでしょうか。
 また、いわゆる旧統一教会と安倍元総理の関係について、総理はこれまで本人が亡くなった今把握するには限界があると御説明されていますけども、党内からも事務所関係者に聞くなどできることはあるのではないかという指摘もあります。今後調査を指示するお考えなどはございますでしょうか。

(岸田総理)
 まず、安倍元総理の国葬儀については、これまで私自身、累次の会見、あるいはぶら下がり、さらには国会での閉会中審査、また官房長官等も日々の会見を行う、そしてその際に多くの御質問を頂いてきました。御質問に丁寧に答えていくという形で、あらゆる機会を捉え、できる限り政府として説明の努力を行ってまいりました。
 しかしながら、御指摘のように、今なお、「説明が不十分である」との御意見、御批判があるということについては、真摯に受け止めなければならないと思っています。
 いよいよ国葬儀の日にちが迫ってきましたが、具体的な日にちが迫ってきたからこそ、明らかになってくる、人数ですとか、具体的な対応、あるいは外国からの賓客の顔ぶれですとか、日にちが迫ってくることによって明らかになってくるこうした事柄もたくさんあります。こういった事柄等について、引き続き最後まで丁寧な説明を続けていきたいと思っております。この国葬儀と併せて様々な首脳外交等も行われることが予定されています。帰国しましたならば、一連の国葬儀行事が、敬意とそして弔意に満ち、各国への礼節を尽くし、我が国への信頼を高めるものになるよう、総理大臣の立場で全力を尽くしていきたいと思っています。
 そして、もう1点の御質問の安倍元総理と旧統一教会との関係についてですが、この調査という点については、色々な活動や関わり、様々なかつての情勢について伝えられているわけですが、そうしたもの、基本的には御本人の心の中での判断に基づくものである以上、御本人が亡くなられた今、その実態を把握することには限界があるのではないか、このように申し上げてきました。その考えは今でも変わっておりません。以上です。

(フォーリンポリシー誌・ケリー・キンボル編集者)
 岸田総理ありがとうございます。液化天然ガスの輸入や原子力発電所の再稼働以外に、総理が掲げるカーボンニュートラルの目標に向けた具体的な取組はありますでしょうか。また、それら取組の期限はいつになりますでしょうか。

(岸田総理)
 まず、カーボンニュートラルに向けたグリーン・トランスフォーメーションについて、私のビジョンと、今後10年間のロードマップを年末までに示すことにしています。具体的には、3つの柱で取り組みたいと思っています。
 第一に、成長志向型カーボンプライシングです。投資や消費を拡大していくための鍵は、市場機能の活用であると思っています。岸田内閣では、成長志向型カーボンプライシングを設計中であります。
 カーボン価格が短期的に大きく変動しますと、投資も、また消費もリスクに立ちすくんでしまいます。今年から、炭素排出量の約4割を占める企業が参加する「GXリーグ」を始動させ、2026年までには、成長志向型排出量取引市場として本格稼働させていきたいと思います。
 そしてその市場を、総排出量の7割を占める民間企業の参加を促すことによって拡大させ、市場安定化機能を公的に持たせて、カーボン価格が一定のバンドの中で安定的に、そして企業の予見可能性を確保する形で上昇していく、こうした仕組みをまず整備していきたいと思っています。
 そして第二に、トランジション・ファイナンスです。日本の未来は、成長するアジア経済と共にあります。ASEAN(東南アジア諸国連合)経済だけでも2050年には約2.7倍になると言われています。
 アジアの経済成長の中で、カーボンニュートラルを達成するためには、トランジション・ファイナンスをどう呼び込んでくるか、そのための投資プロジェクトをどのように作るか、これが決定的に重要となります。2050年までに累計で約40兆ドルの資金需要があるという試算まであります。
 日本は、カーボンプライシングと投資支援の組合せにより、まず国内において今後10年間150兆円のGX投資の実現を目指していきます。そしてこれをアジアに拡大していく、アジアのこの膨大なGX投資の具体化に貢献していきたいと思っています。
 炭素削減のための発電投資ですとか、さらには水素、また次世代グリッドなどの大規模国際プロジェクト、そして域内共通の技術水準づくりなどを整備して、世界のマネーをアジアに取り込んでいきたいと思います。
 「アジアゼロエミッション共同体」というべき投資対象群を作っていく、こうした取組を進めていきたいと思います。
 そして第三に原子力ですが、再稼働済み10基の原発の稼働確保に加え、原子力規制委員会による設置許可済みの7基の原発再稼働に向けて、国が前面に立って、あらゆる対応を採っていきます。
 また、「脱炭素エネルギー」である原子力を、将来にわたる選択肢として強化するため、あらゆる選択肢を排除することなく検討することを、GX実行会議で指示いたしました。
 次世代革新炉の開発、運転期間の延長などを検討していただき、年内目途に、専門家等の御意見を頂いた上で、今後の方針を明らかにしていきたいと思っています。以上です。

(共同通信・笠井記者)
 政府・日銀は円安進行を阻止するため、円を買ってドルを売る、為替介入を実施しました。円安進行に歯止めをかける効果は一時的との見方もありますが、受け止めと政府の今後の対応についてお伺いします。

(岸田総理)
 はい。為替ですが、為替は安定的に推移することが重要ですが、最近のこの為替市場では、投機的な動きも背景とした、急速で一方的な動きが見られます。
 御指摘のように、この大きな為替の動きがあります。1年で30円以上円安に動いたのは過去30年ない状況であります。また、足元では、1日のうち2円以上も、円安が進行した、こうしたことでもありました。
 為替相場は市場で決定されるのが原則でありますが、この投機による過度な変動が繰り返されることは、決して見逃すことができないと考えます。
 このような考え方から、本日為替介入、これを実施いたしました。政府としては、引き続き、為替市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに、過度な変動に対しては、断固として必要な対応を採りたいと考えております。

This press release was sourced from Government of Japan on 22-Sep-2022.